今シーズンのリーグ戦を終え、チームはリーグ最多得点、最少失点で首位通過を果たした。その好調を支える、ある班とある人物の存在がある。
2024年 アナライジング班 長谷川稜
2回生のときにチームに加入し、1学年下のメンバーとともに新人戦やあかつき杯で優勝に貢献。その後もFOとしてプレーを続けたが、本年度からアナライジング(以下AS)として活動している。チーム事情に応じてASに転向することを決め、活動する中で彼が抱く情熱や苦悩の日々、主将中杉への想いについて紐解いていく。
1. AS転向
入部当初から23卒のASである森雅弘さんがベンチで活躍する姿に憧れを抱いていたという。しかしそこから月日が経ち関学にAS班は存在していたが、活動自体は形骸化していると言わざる得ない状況にあった。
そこで彼は森雅弘さんのようにチームに貢献したいという想いからASに転向することを決意した。

2.ASでの活動
ASとして活動し始めた当初、彼は右も左も分からない状況だったため森雅弘さんに連絡を取った。
「お話させていただく中で、「勝敗に関わる統計」と「選手のモチベーションに関わる統計」を意識することが大事だと学んだ。「勝敗に関わる統計」に関しては、現在福田京太郎が担当しているグラボスクープ率やショット成功率などがある。そして今年度から「選手のモチベーションに関わる統計」を取るために「貢献度」というものを導入した。」
各選手がどれだけ試合で貢献しているのか可視化することで選手のモチベーションを高められるという長谷川なりの考えがあったという。
実際に選手同士で貢献度を比べ合い、選手間でのライバル意識に火をつけている様子がよく見られる。間違いなく今シーズンの選手の競争力を上げる要因になっている。
「リーグ戦期間になると相手チームのスカウティング動画も作成するようになった。 選手がとったタイムコードと相手選手の特徴を動画にわかりやすくまとめることで、記憶の定着を図ることができる。
また、試合直前でもこの動画を見返すことで気軽に確認することができる。」
この動画を用いて選手たちは試合の準備を進めている。こうしたASの統計が今期リーグ戦の好成績につながっているといえるだろう。

3,春先の苦戦、そして苦悩の日々
学生日本一という大きな目標を掲げて始動したチームもトップリーグ初戦敗退、関関戦敗戦、スーパーカップ7位ほかにも多くの試合で負けが続き、結果が出ず苦しんだ。
ASとして新たな挑戦をする長谷川も苦悩の日々を送っていた。「本当に自分たちの統計がチームの役に立っているのか」、胸を張ってそう言い切ることができないのにチームを代表してベンチに立たせてもらっても良いのか。さらにASでの活動がチーム内で認知されていないことが原因で部員とぶつかることもあった。ただ、ある意味そういった苦悩の日々が長谷川らASの火をつけたともいえるだろう。

4.主将中杉の影響力
長谷川がASとして活動している中で大きな原動力になっている人物がいる。それは主将中杉歩遠だ。
「歩遠はとてもマメなやつ。部員1人1人のことをちゃんと見てくれていると感じる。今年の目標である「ALL IN~共創~」を達成するための彼の言動に矛盾がないからこそ彼の期待に全力で答えたいと思わせてくれる。 」
そんな中杉が今年のAS班に与えてくれた影響は大きいという。
「元々形の無かったAS班の立ち上げも親身に携わってくれ、試合後にグループラインで毎回感謝のメッセージをくれる。また例年空けていたベンチ枠をASのために割いてくれた。ASは注目を浴びることは少ないけど歩遠は活躍の機会をくれるしその姿を見てくれている。」
主将中杉が長谷川のASとしての活躍を後押ししているのである。
そして開幕戦の勝利後、涙を流す中杉をみて思ったという
“歩遠を日本一の主将にしたいな”

5.ASとして今の想い
今シーズンからASとして活動する長谷川だがチームにどうしたら貢献できるのか彼なりに悩みながらも着実にチームを後押しする活躍をしてきた。「ASとしてチームに貢献できるのは試合前日までの準備期間しかない」と語る。様々な統計や貢献度で選手のモチベーションや技術向上のきっかけを作り、リーグ戦のスカウティングで試合に向けた万全の準備を整える。今年のAS班は新しい価値を生み出した。
「もっと早くスカ動画を作りたいし、練習で取りたい統計もある。」まだまだ課題はあるという。さらに「本音を言うならもっとASに人数が欲しい。でも選手として活躍できないからとかではなく、ASとして活躍したいという意思を持つ人が増えたらいいな」とASの未来について想いを持ち始めている。
「同期よりラクロス部で過ごした時間は短いけど、今ではチームに対する愛は誰よりも強い。縁の下の力持ちになってチームの勝ちに貢献する。ASを関学ラクロス部に必要不可欠なポジションにすることがASとしてのALLIN。」
11/4にはFinalが控え、そこに向けてまた一層活動を促進させる。さらにASの未来も見据える彼のような強い意志をもつ存在によって今年の関学ラクロスに変化が起きている。
今シーズンも佳境を迎える。長谷川らASの活躍がチームを勝利に導くだろう。
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